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Interview

第10エピソード

この未発表インタビュー(長編インタビューのために「連載形式」となった)は1997年に行われたものである。ペトルチアーニはこのインタビューでそれまでの彼の経歴を詳細に語り、人生の秋に長い旅路を読み返すこととなった。
これはその第10エピソードである。
(まだ第1エピソードを読んでいない場合はこちらをどうぞ。)


ドリュフェスとの最初のアルバムは「マーヴェラス」です。このアルバムは、ストリング・カルテットとドラムにトニー・ウィリアムス、ベースにデイヴ・ホランドを迎えてます。フランシスの為にも、他の元とは違ってオリジナリティーのあるアルバムを作りたかったんです。今までに誰も作ったことがないようなアルバムをね。僕のエレクトリック時代は終わって、アコースティックに戻ってきた所でした。「マーヴェラス」はまあいいアルバムだよね。ストリング・カルテットが僕が期待していたような仕事をしてくれなかったっていう部分では少し失敗だったけど。僕がうまく全体をまとめることができなかった。自分はアレンジをする段階にまだ至ってないと思っていたし、ミキシングもうまくいかなかった。まあそうは言っても、トニー・ウィリアムスと一緒にアルバムを作れたのはとても嬉しかったね。だって彼と一緒にやってみたいってずっと思っていたから…本当に凄いよ。彼は。デイヴは僕に「君がトニーを使ったら、大成功するか、大失敗するかのどちらかかもね。彼の気分次第じゃない…」って言った。けどまあよかったのは、彼がその当時最高にご機嫌だったてこと。結婚したばかりだったからね。彼は、「君の音楽いいね。メロディーがいいよ。「チャーリー・ブラウン」がいいね」ってずっと言ってくれました…

ストリング・カルテットとは、僕がやりたかったことをやれなかった。もしこのアルバムをもう一度ミキシングできるなら、僕は彼らをもっと前面に押し出したいと思う。っていうかどっちにしても、もし願いが叶うんなら、僕のアルバムを全て作り直したいな。全部ね。うまく出来てるアルバムも中にはあるけど、それは綺麗な歌が入っているのとかで、ソロアルバムよりよかったと思ってる。音楽的な知識を高めていくとどんどん、即興演奏への興味が薄れていってると言わなくちゃなんないね。僕は歌を作るのが好き。どんどん好きになってく。即興演奏も大好き。けど、こっちは僕にとってはそんなに重要じゃないんだ。前ほどは楽しくなくなってきてる。しかもマイルスもこんなこと言ってたよね。「音は少なくすること。一部の人にしか訳の分からないような音は重要じゃない」って…。まず最初にその曲のカラー、そしてそのカラーにあったイメージを感じようとすることが大切。だから元を辿ると、作曲とハーモニー、つまり歌なんだってこと。僕はメロディーが好き。皆が歌えるようなものが好き。頭の空で覚えちゃうようなのが好き。「ばら色の人生」みたいな曲が好き。琴線に触れるんだよね…ポップスも好きなんだ。フレディ・マーキュリーとか、マイケル・ジャクソンプリンスとかいいよね。僕がマイルスを好きなのは、素晴らしいメロディストだからなんだ。彼はフレーズをうまく歌っていたよね。「ポギーとベス」とか「いつか王子様が」とかで…コルトレーンでさえ、まあ彼は複雑で、とてもモダンなフレーズを使っていたけど、それでもやっぱり凄くメロディアスだよね。彼がスタンダードのバラードを演奏すると、凄すぎてひっくりかえっちゃう…。「至上の愛」は皆も歌えるでしょ。

「マーヴェラス」を出した後に、僕は人生を再出発した。もう一度ニューヨークでね。前のグループでドラマーだったビクター・ジョーンズの奥さんの家で、僕は小さな寝室を賃借りした。住所はそこにしてもらった。けど定住するような家は持ってなくって、仮差押えされた後でもう何も残っていなかった。税務上の問題を抱えていて…僕は手紙もそこで受け取っていたんだ…最近、2年前かな、ニューヨークにアパルトマンを買った。80平米あるんだけど、仕事が忙しくって、新しい家で何にもする時間がないんだ!それから僕はオルガニストのエディ・ルイスと「コンフェランス・ド・プレス{記者会見}」っていう2枚組みのアルバムをレコーディングした。彼と演奏する前に、「モンテリマール」っていう曲を特別にボーナストラックとして僕一人でレコーディングしてる。この曲で僕はピアノとオルガンを同時に演奏してる。親父とダンスホールで演奏していた頃、僕はオルガンを弾いていた。当時の僕のアイドルの一人がエディ・ルイスだった。1983年に、僕らは既にジャズ・クラブのプチ・ジャーナル・モンパルナスやパリで一緒に演奏していた。素晴らしかったよ。イブ・シャンベルランは僕らのこのデュオが又やることを強く望んで、そうしてプチ・ジャーナルで再び3日間やったんだ。「コンフェランス・ド・プレス{記者会見}」っていうタイトルはエディのために付けた。僕らが知り合って間もない頃、彼がインタビューを受けたり、記者と話しをするのが嫌いだってことを知ったんだ。それで僕はアルバムをレコーディングする時に記者を呼んじゃおうと思った。そうすれば沢山の質問攻めにあってうんざりすることももうないだろうと思って。記者もレコーディングに立ち会うのだから質問しなくってもある程度分かるかなと思ってね…で、僕らは記者会見をして、話す代わりに演奏をした。ただそれだけ!とっても素敵な思い出。本当にね。エディって天才ミュージシャンだよね。

その後に、2枚組みのライブCD、「オ・テアートル・デ・シャンゼリゼ{シャンゼリゼ劇場で}」を出しました。これはコンサートの完全版で、どこもいじってない。本当に何も変えてない。音一つとしてね。キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」みたいなことはやってない…手を加えるなんてことは皆よくやってることで、だからこそ僕は何にもしてないってことを敢えて言ってるんだ…あとこのアルバムはパッケージもかっこいい。紙ジャケットで…ジャン・ベールの写真がいいでしょ。凄い気に入ってるんだ。ついでに言うと「マーヴェラス」のジャケット写真よりもこっちの方が好き。だってあれ、僕、オズの魔法使いみたいでしょ…数年前からソロで演奏する機会を増やしていて、そうしたら本当に世界中のクラシックの殿堂と呼ばれるホールでコンサートを開くに至った。1999年にはミラノのスカラ座でも演奏する予定。ジャレットはもうここで演奏したよね。まあけど当然だよね。彼は僕よりずっと才能あるし、数年前にやっちゃった…こういうホールでは、ピアノが一台あって、マイクはなしで演奏する。素晴らしいよね…

僕がソロをやり始めて5年になります。同時に幾つかのトリオを組んだり、僕のセプテットをやったりしてる。ソロは今一番気に入ってる編成なんだ。カッセンティの「ミシェル・ペトルチアーニへの手紙」では、「ソロなんてエゴイストがやるもんだ」なんて僕は言ってるけど、おかしいよね…まあ誰でも皆考えは変わるものだよね!こんな風に言っても10年後には又「ソロなんてくそくらえだ」なんて言ってるかもしれないしね…このアルバムから、僕はレパートリーを又変えました。今は自分のオリジナルしか弾かない。ドイツ・ツアーのライブ版アルバムも出せたらいいな。4年前から自分のコンサートは全部録音してる。かなりうまくいったコンサートが3つか4つあったから、アルバムがすぐにリリースされるはずだよ。
11エピソード

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[翻訳]
Poisson
[訳注参考サイト]
CDJournal
フレディ・マーキュリー
マイケル・ジャクソン
プリンス
amazon.co.jp
プチ・ジャーナル・モンパルナス
シャンゼリゼ劇場



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